人気絵本作家エリック・カールの絵本に隠された自然へのメッセージとは

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こんにちは。

「はらぺこあおむし」で有名な、人気絵本作家エリック・カールさんをご存知ですか?

「絵本の魔術師」と言われている彼の作品は、

どれも色鮮やかな色彩が特徴的です。

複数の素材を切り貼りして新しいイメージを作り出す表現技法である

コラージュという手法が彼の作品には多くみられました。

今回、エリック・カールさんの絵本やその中に隠されたメッセージなどをまとめてみたいと思います。

タップできる目次

人気絵本作家エリック・カールの生い立ちって?

絵本作家の作品が並んでいるイメージ

エリック・カールさんは、1929年6月25日にアメリカのニューヨーク州シラキュースで生まれました。

両親はドイツ人で6歳のときに家族とともにドイツのシュトゥットガルトに移住しました。

そこで第二次世界大戦を経験し、父親はソビエト連邦の捕虜となりました。


彼は、16歳からシュトゥットガルト造形美術大学で学び、

そこでナチスに禁じられていたピカソやマティスの絵を見せてくれた先生に出会い、色彩にあふれたアートに感銘を受けたそうです。

大学卒業後にはアメリカに戻り、「スイミー」の絵本で有名なレオ・レオニという絵本作家の紹介でニューヨーク・タイムズ紙のグラフィックデザイナーとして働きました。


エリック・カールさんは、1967年に『くまさんくまさんなにみてるの?』という絵本のイラストを担当し、絵本作家としてデビューしました。その後、自分の絵本を作るようになり、1969年には代表作の『はらぺこあおむし』を出版しました。


その後も多くの絵本を発表し、世界中の子どもたちに愛されましたよ。

2002年にはアメリカのマサチューセッツ州にエリック・カール絵本美術館を開館し、自分の作品や他の絵本作家の作品を展示しました。


エリック・カールさんは、2021年5月23日に腎不全のため91歳でなくなりましたが、現在も彼の作品は多くのファンを魅了してやみません。

エリック・カールが得意としたコラージュの手法って?

コラージュの手法とは、複数の素材を切り貼りして新しいイメージを作り出す表現技法のことです。

コラージュにはさまざまな種類がありますが、代表的なものを9個ご紹介しますね。

リピート:特定のオブジェクトを複数並べる手法です。オブジェクトの選び方や並べ方に、作者の個性が反映されます。


ディストーション:既存の作品を変形したり、一部を入れ替えたりする手法です。リピートの手法と組み合わせられることも多くあります。


ミニマリズム:余白を活かすミニマルな手法です。組み合わせるオブジェクトの数が少ないのが特徴です。


シルエット:オブジェクトのシルエットを活かす手法です。オブジェクトの内側を切り抜き、異なるテクスチャー要素や他の作品をはめ込みます。


スケーリング:人間、動物、体の一部など、多くの人が大きさを把握しているオブジェクトを、あえて縮尺が異なる素材と組み合わせる手法です。


パーフェクトマッチ:オブジェクトの持つ意味や形状の繋がりに着目した手法です。コラージュならではの独特な世界観を表現できます。


ミューテーション:人や動物の体のパーツを入れ替えて、異質なもの同士を組み合わせる手法です。
バランス:さまざまな要素を抽象的な形にまとめる手法です。カジミール・マレーヴィチ氏が提唱したシュプレマティスムにも通じています。


テームド・カオス:混沌とした印象でありながら、一定の秩序を保った手法です。コラージュらしいパワフルさが特徴で、ダダイズムの影響を感じさせます。


ミクストメディア:コラージュの表現は平面にとどまりません。写真やイラストだけでなく、刺繍や立体的なオブジェクトも組み合わせられます。

エリック・カールが使用したコラージュの手法って?

コーラージュにも、様々な手法があることがわかりました。

では、エリック・カールさんはどんな手法を使ったのでしょうか?

彼の手法は、さまざまな種類に含まれますが、

代表的なものは以下のようになります。

リピート:同じオブジェクトを繰り返し並べる手法です。例えば、『はらぺこあおむし』の中で、あおむしが食べた果物や食べ物は、リピートの手法で表現されています。

この本は、子どもたちも大好きな絵本の一つで、たくさんの保育園で読まれています。

このリピートという手法は、例えば蝶々で表現するとしたら

次のようなイメージになりますよ。

コラージュ手法のリピートで描いた蝶のイメージ図

(コラージュ手法のリピートで描いた蝶のイメージ図)

「はらぺこあおむし」の絵本の中では、お腹がすいた”あおむし”が美味しそうな食べ物を食べていくのですが、曜日によってなしだったりスモモだったり苺などを食べていきます。その時に、2個、3個・・・と果物を繰り返して描かれています。

この繰り返し描かれているやり方が、リピートと呼ばれるものです。


世界中で読み継がれている「はらぺこあおむし」、気になる方はまたチェックしてみてくださいね。

ディストーション:既存の作品を変形したり、一部を入れ替えたりする手法です。

コラージュのディストーションの手法を使って描いたニンジンのイメージ図

(コラージュのディストーションの手法を使って描いたニンジンのイメージ図)

芸術的な変形を加えたニンジンが、ユーニークで視覚的に魅力的なパターンを形成しています。

オレンジ色のニンジンに顔のパーツがついたり、本体にも可愛い模様がつけられています。

例えば、『パパ、お月さまとって!』の中では、

パパの顔が月になったり、月がパパの顔になったりしています。

お月さままで梯子をかけて登っていこうとする場面はかなり迫力ありますよ。

次に、


シルエットというのは、オブジェクトのシルエットを活かす手法です。オブジェクトの内側を切り抜き、異なるテクスチャー要素や他の作品をはめ込みます。

柊木の葉っぱをコラージュのシルエット手法で描いたイメージ図

(柊木の葉っぱをコラージュのシルエット手法で描いたイメージ図)

柊木の葉っぱのシルエットの中に様々な模様が埋め込まれていますよ。

例えば、『だんまりこおろぎ』の中で、こおろぎのシルエットに花や葉がはめ込まれています。

エリック・カールの「だんまりこおろぎ」の画像は、以下のサイトで見ることができますよ。

絵本ナビ:このサイトでは、絵本の内容やレビュー、関連する絵本やグッズなどを紹介しています。表紙や中身の一部の画像も見ることができます。

こちらでは、「ボードブックだんまりこおろぎ」や英語版のThe Very Quiet Cricket(だんまりこおろぎ)も見ることができますよ。


寝転んで本を読む:このサイトでは、保育士の方が絵本の感想や子どもたちの反応などを書いています。表紙の画像と、最後のページの画像も見ることができます。



【絵本】『だんまりこおろぎ』エリック・カールの「音」の仕掛け絵本がきになる方は、またチェックしてみてくださいね。きっと、エリック・カールの貼り絵の美しさや、音の出る仕掛けの驚きを楽しむことができると思いますよ。

では、『できるかな? あたまからつまさきまで』の中で、

子どもの手や足が大きく描かれていますが、

これは、スケーリングと言って、人間、動物、体の一部など、多くの人が大きさを把握しているオブジェクトを、あえて縮尺が異なる素材と組み合わせる手法です。

スケーリングはなんだか難しそうなのですが、

図にしてみると次のようなイメージかなと思います。

(もし違っていたらすみません)

コラージュのスケーリングの手法を使ったイメージ図

(コラージュのスケーリングの手法を使ったイメージ図)

では、『できるかな? あたまからつまさきまで』では、このスケーリングという手法がどのように描かれているでしょうか?

この絵本を両開きにしてみると、動物と子どもが対比するような感じで描かれています。

実際に大きい動物は大きく描かれているので、

人間の子どもとの尺度の違いが

よくわかってイメージが湧きやすいです。

このお話は歌にもなっていて

動物がする動作を一緒に真似っこするのは

すごく楽しいですよ。

(でも、かなりハードです・・笑)

この絵本も何年経っても、

子どもたちに大人気の絵本です。

気になる方は、ご覧になってくださいね。

最後に、

パーフェクトマッチという手法ですが、これはオブジェクトの持つ意味や形状の繋がりに着目した手法です。

コラージュならではの独特な世界観を表現できます。

例えば、絵にするとどんな感じになるのかと言いますと、

コラージュのパーフェクトマッチ手法で描いたイメージ図

ちょっとわかりにくいですね。

うまく表現できなくてすみません。

その中心になるオブジェクトに関連するものだったり、

色合いや形や模様などと関連づけて

絵が展開していく感じです。

それをエリック・カールさんは、パーフェクトマッチの手法を

『たんじょうびのふしぎなてがみ』の中で、

巧みに表現されていてさすがとしか言いようがありません。

絵本の中に手紙が入っているのですが、

その手紙の中に入っているプレゼントは、

オブジェクトの形や色に合わせて選ばれています。

読み進めていくうちに「次はなんだろう?」ってワクワクしながら、

先が気になります。

子どもたちから、「こうかも?」っていろいろ答えてくれるので、

そういった子どもとのやりとりも楽しみの一つですよ。

興味のある方は、またご覧になってくださいね。

絵本に隠された自然へのメッセージって?

エリック・カールさんの絵本には、自然へのメッセージがたくさん隠されています。

彼は自然の美しさや不思議さ、生命の営みや変化、

自然と人間の関係などを、色鮮やかなコラージュの絵と

シンプルな言葉で表現しています。

彼の絵本には、以下のような自然へのメッセージが見られるかなと思います。

『ことりをすきになった山』では、

山とことりの間に生まれる愛情と、

自然が長い時間の中で変化していく様子を描いています。

山はことりの涙や種をきっかけに、川や花や木々ができて、

緑におおわれていきます。

この絵本は、自然のサイクルやバランス、自然と人間の共生の可能性を示唆しています。


『はらぺこあおむし』では、

あおむしが食べ物を食べて大きくなり、

さなぎになって最後には美しいちょうになるまでの過程を描いています。

この絵本は、自然の驚異や成長、変身、再生などのテーマを扱っています。

また、あおむしが食べ物に穴をあけるというアイデアは、

日本で誕生したというエピソードがありますよ。

まず、この絵本の元となった最初の作品は

「A Week With Willi Worm」(虫のウィリーの1週間)というもので、

紙の束に穴あけパンチで穴を開けていた際に、

本の紙を食べる虫を思い付いたことがきっかけで誕生したそうです。

しかし、この作品は出版社に受け入れられませんでした。

なぜなら、虫は子どもたちに不人気だと思われていたからです。

そこで、カールさんは虫を蝶に変えるというアイデアを思いつきました。

そして、『はらぺこあおむし』というタイトルで出版することになりました。

ところが、この絵本は穴を開けたりページを

小さく切ったりする仕掛け絵本で、

当時のアメリカではコストがかかりすぎて

製作できる会社が見つかりませんでした。

そこで、担当編集者が日本の会社を見つけたそうです。

1969年にアメリカで初めて発売された版を印刷・製版したのは、

日本の会社だったなんて不思議ですね。

その後、この絵本は世界中で大ヒットし、

70以上の言語に翻訳されました。

日本では1976年に偕成社から発売され、

現在までに累計638万部以上が発行されています。

(2018年トーハン「ミリオンブック」情報)

世界中では、累計約5500万部以上を売り上げているそうです。

(2021年5月朝日新聞デジタル情報)

現在(2023年)では、発行部数はもっと増えているかもしれません。

このように、『はらぺこあおむし』は日本で生まれた

と言っても過言ではないかもしれません。

というか、日本と深い関係があったんですね。

カールさんは日本の文化や芸術にも深い関心を持っていて、

日本の絵本作家や画家とも交流がありました。

カールさんは日本のファンにも感謝の気持ちを伝えていたそうです。

『ごちゃまぜカメレオン』では、

カメレオンが他の動物の特徴を真似て、

自分の姿を変えていく様子を描いています。

しかし、カメレオンは自分の姿がわからなくなってしまい、

最後には自分らしくいることの大切さに気づきます。

この絵本は、自然界の多様性や個性、自己表現などのテーマを扱っています。

まとめ

今回、エリック・カールさんの絵本やその絵本に込められたメッセージなどをまとめてみました。

いかがだったでしょうか?

エリック・カールさんの絵本には、

自然へのメッセージがたくさん込められています。

彼の絵本は、子どもたちだけでなく、

大人たちにも自然に対する感性や想像力を刺激してくれます。

また彼の絵本を読んで、自然の素晴らしさや奥深さに触れてみてくださいね。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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