「車内置き去り事件」はどうして起きるの?「もの忘れの脳科学」からの考察

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最近また子どもの車内置き去り事件が起きました。いつもこういった事件を耳にするたび胸が苦しくなります。まさかそんなことが起こるはずがないと誰しも思うのですが、なぜか車内置き去り事件は無くなりません。どうしたらいいのでしょうか?ダメだとわかっていても起きてしまうことならば、人間の脳に問題があるのかもしれません。

今回専門家の書かれた本を学び、どうして「もの忘れ」が起きるのだろうってことを考えてみました。また、どうしたら子どもの車内置き去り事件のような悲しい事件がなくなるのかを考察してみました。

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「もの忘れの脳科学」(苧阪満里子著)を読んでみる

まず、「もの忘れ」というのは年齢に関係なく誰にでも起こるものだということを肝に銘じたいと思います。「一度書いたら消えないメモとは違い、こころの中のメモは消えやすく、どこかにまぎれやすい」(苧阪満里子氏)ということも覚えておきたいと思います。

「もの忘れの脳科学」は第1章から第6章までの構成となっています。

第1章 もの忘れとワーキングメモリ

第2章 短期記憶とワーキングメモリ

第3章 ワーキングメモリを測る

第4章 ワーキングメモリとその脳内機構

第5章 加齢とワーキングメモリ

第6章 ワーキングメモリの発達

第7章 ワーキングメモリを強化する

第8章 ワーキングメモリと情動

data source:「もの忘れの脳科学」

目次を見られてお気づきかと思いますが、「ワーキングメモリ」というワードがたくさん出てきています。この「ワーキングメモリ」って、一体なんでしょうか・・・

ワーキングメモリーは、外界から入ってきた感覚情報などを、それが消えた後に数秒から数十秒の間、短期記憶として保持し、それを用いて他の認知機能を実行する為の、脳の機能である。短期記憶の意味で用いられる事が多いが、本来は純粋な短期記憶ではなく、それを用いて他の認知機能を実行したり、記憶内容に操作を加えたりする為の機能を指す。

data source:脳科学辞典

「ワーキングメモリ」というのは、何かの行動を起こすために、その目標を達成するまでに自分の中に入ってきた情報を少しの間(数秒から数十秒)だけ、脳に記憶として保つ(残しておく)という脳の働きのことだと理解できました。

と言われても、抽象的すぎて難しいですね。例えば、自分の日常生活に置き換えて考えてみたいと思います。

・愛犬の散歩に行く時の場合

毎日のルーティンで、自分の生活の中に犬の散歩が習慣になっている場合ですと、一連の犬を連れてどういうことをし終えて家を出る行動に結びつくのは、とても簡単にできるのではないかと考えられます。

①お料理中であれば、火を止める。(スイッチを切る)

②家族がまだ出勤していなければ窓などの戸締りは不要だが、一人の場合は戸締りを確認する。

③犬の散歩セットを装備する。

④日差しが気になる場合は帽子をかぶる。

⑤何かの連絡があるかもしれないのでスマホを携帯する。玄関の鍵も持つ。

⑥犬にリードを装着し玄関に向かう。

⑦そこでようやく家の鍵を閉めて散歩に出かける。

ここまでの行動は、日々していることであれば誰に言われなくても体が勝手に動いてもの忘れなく行動できると推察されます。そこで、もしこの一連の行動にイレギュラーなことが起きた場合、果たしてもの忘れせずに全てのことをこなせるでしょうか・・・

例えば、家族から書類入りのレターパックを散歩の道中にある郵便ポストに投函しておいてと頼まれたとします。それ一つだけなら自分の「ワーキングメモリ」は正常に機能するかもしれませんが、その日がゴミ収集日だと思い出し急いでゴミを集めて玄関に持っていくとします。右手には犬のリードを持ち、左手にはゴミ袋を持っています。少し前までは覚えていた、頼まれていたレターパックのことを玄関を出る頃には忘れてしまっているかもしれません。それとも、レターパックは小脇に抱えていて、全て完璧と思ったかもしれませんが、もしかしたらスマホを持っていくのを忘れているかもしれません。

上記のような「もの忘れ」のケースは、「ワーキングメモリ」の機能が低下しているというよりも、他のことに注意を向けると普段ならなんともないようなことが妨げられて、”できない”=”もの忘れ”になってしまうのかもしないです。

ワーキングメモリの働きとは・・・情報を活性化状態において、一時的に維持するシステムであり、日常場面での生活を支え、学習や思考などの様々な認知機能の基礎を支える重要な役割を担っていること。

data source:「もの忘れの脳科学」

「もの忘れ」=「認知症」なのでしょうか?

そもそも「認知症」とはなんでしょうか?

一般的に認知症とは、脳の細胞が損傷したり死んだりすることで、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に困難が生じる状態です。認知症は病名ではなく、さまざまな原因によって起こる症候群です。認知症にはいくつかの種類があり、その中でもアルツハイマー型認知症が最も多く見られます。認知症は加齢に伴って発症しやすくなり、日本では65歳以上の人口の約15%が認知症と推定されています。認知症は現在の医学では完治する方法が見つかっていなかったのですが、先日NHKニュースによると、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」きょう承認審議 厚労省(2023年8月21日付)と発表されていました。

アルツハイマー病は認知症の原因となる病気の1つで、日本では認知症と診断された高齢者の6割以上を占めています。

アルツハイマー病を発症した人の脳では、「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質がたまっていて、これにより神経細胞が壊れ、脳が萎縮し、その結果、脳の働きが低下すると考えられています。

典型的な症状として初期に物忘れが目立ち、経過とともに理解や判断の力が衰えたり、身体的な機能も低下して動きが不自由になったりするなど、さまざまな症状が徐々に出てくるようになります。

厚生労働省によりますと、日本では認知症の人は3年前の時点で600万人と推計されていて、さらに団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年には、およそ700万人にのぼると予測されています。

data source:NHK

NHKの詳しいニュース内容↓

この薬が一般家庭に普及されるには現時点ではいつになるかはわかりませんので、認知症に対して私たちができることといえば、早期発見や適切なケアによって進行を遅らせたり、生活の質を向上させたりすることが可能です。

ちなみに、アルツハイマー病という名前の由来ですが、ドイツの神経病理学者であったアロイス・アルツハイマーが、20世紀初め頃にある51歳の女性の臨床結果を発表したことに始まります。その患者の女性の脳を調べると、大脳皮質の細胞の中に老人斑と神経細胞内に神経原繊維変化が認められたそうです。と言われても、難しくてよくわかりませんが・・・

老人斑→老人斑とは、脳の灰白質においてアミロイドβというタンパク質が細胞外に沈着することでできる構造物ですですが、これが神経細胞を損傷させる原因になっていると考えられています。

神経原繊維変化→神経細胞の中や樹状突起の中に、タウというタンパク質がひも状の塊となって蓄積することを指します。タウタンパク質は、正常には神経細胞の微小管を安定化する役割を果たしていますが、加齢や病気によってリン酸化されると、微小管から離れて集合し、神経細胞の機能を妨げるそうです。

一般に認知症と言われている中のアルツハイマー病の症状は、記憶障害があったり今自分がいる場所が分からなくなったりする障害が出てくると言われているので、「もの忘れ」と「認知症」はイコールではないと推察されます。

記憶とワーキングメモリの関係とは

さて、何度も繰り返される車の中に子どもを置き去りにしてしまう事件の当事者が、「認知症」になりやすいとされる年齢に当てはまらないとするならば、「記憶とワーキングメモリ」がどのように関係しているかを調べるほうがいいかもしれません。

苧阪満里子氏が「もの忘れの脳科学」の第2章の中で、

記憶・・・

①符号化(見たり聞いたりすることによって覚える内容を理解すること)

②保持(ある一定の期間覚えていることを忘れないでいる状態のこと)

③検索(必要な情報を探し出すこと)

このような特徴がある”記憶”がうまく機能しなくなると、様々な「もの忘れ」が生じてきます。また、記憶には「長期記憶」と「短期記憶」の2種類があり、例えば自分の名前や生年月日や小学校の頃に表彰してもらった内容など、時が経っても忘れない記憶が「長期記憶」だそうです。(詳しくは「もの忘れの脳科学」をみてくださいね。)

それに対して、「短期記憶」というのは、保持できる期間に限界があるそうです。なので何度も繰り返して今から行動しようとする情報を、反復しておかないとほとんど忘れてしまうと言われています。

本当に自分の日常生活を振り返っても、「短期記憶」っていうのは忘れやすいと思います。例えば、サラダのドレッシングをとりに冷蔵庫まで行ったのに、その途中でお鍋の中の煮物がいい具合に出来上がってるのをみて、お皿に取り分けてるうちに、先ほどの「ドレッシング」というワードは、自分の記憶の中からなくなっているということはよくあります。お皿をテーブルに運んだ時に、「あードレッシングをとりにいくの忘れた」ってことになります。

そこで「記憶」と「ワーキングメモリ」の関係性ですが、「ワーキングメモリ」をうまく機能させるのに必要な「長期記憶」の中にあるデータの山から、情報を参照したり検索したりする働きを行う「エピソード・バッファー」というシステムがあるおかげで、記憶と記憶を結びつけたり、その結びついた情報をしばらくの間覚えていると考えられています。

・「エピソード・バッファー」ってなあに?

「エピソード・バッファー」とは、ワーキングメモリの一部で、複数の情報を統合的に保持して、長期記憶とのやりとりをする役割を担うものです。ワーキングメモリとは、情報を一時的に保ちながら操作するための認知機能です。

「エピソード・バッファー」は、音声や視覚などの異なる種類の情報をまとめて、エピソードとして関連づけることができます。例えば、映画を見たり、物語を読んだりするときに、登場人物や場面や感情などの情報を「エピソード・バッファー」で結びつけて記憶します。

「エピソード・バッファー」は、長期記憶から必要な情報を呼び出したり、ワーキングメモリにある情報を長期記憶に保存したりするインターフェースとしても働きます。これによって、意味や音楽などの長期記憶の内容とワーキングメモリの内容を統合することができます。エピソードバッファは、中央実行系という司令塔によって制御されます。

中央実行系は、他のワーキングメモリの要素である音韻ループや視空間スケッチパッドとも連携して、情報の処理や注意や抑制などの認知機能を行います。(専門的な言葉で、ちょっと難しいですね・・・)

ワーキングメモリについて説明されているサイトがありましたので、ご興味のある方は下記をご覧くださいね。

「学びとミライ」のサイトは下記からどうぞ

加齢とワーキングメモリ

多くの研究から、加齢によってワーキングメモリが脆弱(ぜいじゃく)されていくということは知られています。その原因はなんでしょうか?大事なものをどこにしまったのかを思い出せないっていうことは、誰にでも起こることですが、高齢になると個人差もありますが、顕著になってくるようです。

思っていることと関係のないことが刺激となって、少しの間覚えておかなくてはならないことが覚えられないということになります。つまり、加齢によって、ワーキングメモリに保持しておく情報を取り入れるスピードが低下したり不正確になるようです。

脳のワーキングメモリが弱くなっている

高齢者のもの忘れ頻度はどのくらい?

下記のデータは苧阪満里子氏たちが60歳〜85歳の方を対象にワーキングメモリと日常の記憶を調べられたそうです。今回の車内置き去り事件の当事者の年齢とは違いますが、参考までにみてください。

・買い物忘れ       50%

・日時・曜日を忘れる   24%

・知り合いの顔を忘れる  10%

・知り合いの名前を忘れる 45%

・水道、ガスの消し忘れ  15%

・待ち合わせ約束の忘れ   7%

・自宅住所、電話番号を忘れる8%

data source:「もの忘れの脳科学」

まず「買い物忘れ=買い物の内容を忘れること」は、歳には関係なくあり得ることですので、買い物リストを必ず書くようにすれば、買い物の内容を忘れることは低減する可能性があります。(ただ、書いたリスト表を家に忘れてくるってこともありますが・・・)次に、「日時・曜日を忘れる」は、今日が何日かを意識してなければ忘れることもありますが、テレビ、携帯、新聞、カレンダーや手帳など、今日の日時などは何度も目にするので忘れていてもすぐ認識できそうですね。

それから、「知り合いの顔を忘れる」は、忘れていても完璧に忘れてしまうというのは少ないようです。目の前の人と会ったことがあるかないかは、あまり忘れなさそうです。ただ名前となると、半数に近い人数の方が忘れたことがあると回答されています。でも名前を教えてもらうと、「ああそうでした」って感じで記憶を呼び戻せそうです。

「水道、ガスの消し忘れ」は15%ですから、意外と少ないなあって印象です。水道ですと、水の音がするのですぐ気がつく可能性が高いですね。最後の、「自宅住所、電話番号を忘れる」ですが、これを忘れてしまうというのは、もしかしたら単なる「もの忘れ」ではないかもしれないですね。

幼児とワーキングメモリ

苧阪満里子氏は、

「乳児でも、実際に見えるもの聞こえるものは、そこにあることがわかる。しかし、一度目の前から見ているものが姿を隠すと、途端に存在しないように思ってしまう。

しかし、幼児期になると、目の前から見えなくなっても、その存在を”こころ”の中で思い描くことができるようになる。

data source:「もの忘れの脳科学」

と言われています。幼児期にワーキングメモリが形成されるとされています。確かに保育園で毎日絵本を読みますが、読んだ後に絵本の中に出てくるキーフレーズや語呂合わせなどを口にしたら、何も見なくても一緒に唱えることができます。6歳になる頃には、異なる2つの文章があったとしても、うまく自分の心の中で処理することができるようです。これもワーキングメモリの働きなのかもしれないですね。

ワーキングメモリを強化していくには・・・

年齢を重ねるごとにワーキングメモリが脆弱化されていくとするならば、どのようなことをすればワーキングメモリが強化されていくのでしょうか?

「物忘れの脳科学」を少し要約すると、

①毎日、本(新聞など)を読む。

②過去のことを思い出して絵を描いてみる。

③自分の経験したことだけでなく、単語を見てそこからイメージした絵を描いてみる。

こういったことを続けて行った人たちは、右脳の活動が活発になるのが確認されたそうです。ですが、これだけをすればいいのではなく、ワーキングメモリの限られた容量を有効に使っていくということも大事になります。

身の回りの情報を全て記憶しておく必要があるのか?

今日しなくてはいけないことはほぼ頭に入ってたとしても、朝から起こった事象を全て記憶しておく必要があるのでしょうか?そこで、「もの忘れの脳科学」に目を通してみますと、「第7章 ワーキングメモリを強化する」の章の後半には次のように書かれています。

私たちの日常は、様々な場面で、いろいろな記憶を保持する必要がある。だからと言って、ワーキングメモリのはたらきに、不必要な情報をも闇雲に記憶することが必要とは、必ずしも言えないのだ。必要な情報は記憶しておかねばならないが、そうではない情報は、逆に邪魔になることもある。

data source:「もの忘れの脳科学」

言い換えますと、たくさんの内容の情報を自分の中に取り入れすぎると、その内容の理解が疎かになってしまうということですので、大事な用事の前にはあまり不必要な情報を頭に入れすぎないほうがいいのかもしれないですね。

ワーキングメモリは感情に左右されるのか?

人の感情は様々で、喜怒哀楽だけでは表せないくらい多くの感情を持ち合わせています。楽しい映画を見たときは、心が満たされハッピーな気持ちで入れますが、そのすぐ後に通りすがりの人とぶつかってしまい手に持っていたスマホが地面に落ちたとします。落ちた衝撃が強すぎて、スマホの液晶画面が割れてしまったとします。ついさっきまで、楽しい気分だったのが一転腹立たしくて悲しい気持ちになるかもしれません。人の感情は、縁に触れ影響され変化していきます。

そこで、「もの忘れの脳科学」の最後の章を見ていきたいと思います。

この章の中にとても興味深い検証がありました。それは、「ポジティヴ」「ネガティヴ」「そのどちらでもないもの」という3種類の文章を70文ずつ大学生に読んでもらって、その中にそれぞれターゲットとなる単語を後で答えてもらうというものです。

これは、リーディングスパンテストの成績は、文章内容から与えらる感情の動きが影響されるのかどうかを調べたものです。

リーティングスパンテストとは

リーディングパンテストとは、ワーキングメモリを評価する課題の一つです。ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持しながら処理する能力のことで、文章理解や計算などの高度な認知活動に重要な役割を果たします。

リーディングパンテストでは、文章を音読しながら、その中の特定の単語を記憶しておきます。そして、あとからその単語を答えてもらうという手法をとります。リーディングスパンテストの得点は、記憶した単語の数や正確さによって決まります。

そのテストにできた文章は、一体どんな文章なのか下記に書きますね。

①ポジティブ条件

祖父の米寿祝いに、親戚の一同が集まった。

②ネガティブ条件

人の良い父親が詐欺にあい、大金を騙し取られた。

③コントロール条件

私の姉は、食品関係の会社で仕事をしている。

data source:「もの忘れの脳科学」

青い下線が引かれてる単語がターゲットの単語です。

文章の内容によって、感情が左右されて成績(後で特定の単語を聞かれた際に答えられるかということ)」も違ってくるのでしょうか?

このリーディングスパンテストの結果はどうだったかと言いますと、ポジティブな文章が一番正解率が高かったそうです。次に、コントロール条件の文章が2位です。ネガティブな文章はかなり正解率が低かったです。とても興味深いです。

「もの忘れの脳科学」の183ページのグラフを参照して作成したもの
(テスト結果を視覚的に示すために必要なので掲載しました)

(※「もの忘れの脳科学」のp183のグラフを参照し自身で作成しました。)

この結果からわかることと言いますと、ポジティブな文章を読んでいるときは、脳の前頭前野という部分が活性化されることが知られています。さらにワーキングメモリも活動的になっているということです。逆に、ネガディブな文章を読んでいるときは、恐怖や怒りなどのの感情から影響を受けて、その脳の活動が強くなるという性質を持っている扁桃体が活動していることが確認されたそうです。「もの忘れの脳科学」の本の言葉をお借りするならば、下記のようになります。

扁桃体の反応は、生命の危機や恐怖を感じる時に、その記憶を残す上で重要であり、動物の生存にとって重要である。・・・参加者自身はネガティブな分が選ばれていることに気づかないことも多い。気付いていないにもかかわらず、このように扁桃体の活動が活性化していることは興味深い現象だ。意識しないにもかかわらず、その活動が高まったのだろう。

data source:「もの忘れの脳科学」
脳の名称

扁桃体の特徴とは

扁桃体は、脳の左右にある神経細胞の固まりで、アーモンドのような形をしています。扁桃体は、大脳辺縁系の一部であり、情動反応や情動学習、情動記憶などに重要な役割を果たしています。扁桃体は、恐怖や怒りなどの負の感情に関わる脳領域として知られており、扁桃体の損傷はKlüver-Bucy症候群と呼ばれる社会的・情動的な障害を引き起こします。

・ワーキングメモリは感情に左右されるのか?という疑問に対して言えることは、感情の動きに大いに影響を受けて左右されるということがわかりました。特に、ポジティブな感情の動きに対しては、ワーキングメモリが促進されるということも認識できました。

そこで、「車内置き去り事件はなぜ起こってしまうのか?」に対する考察

先ほどまで、苧阪満里子氏の本を読んで「車内置き去り事件」がどうして起きてしまうのかを考察しまとめてみました。

①当事者は認知症だったのか?→年齢的(50代)には当てはまらないのではないかと推察されます。

②当事者の供述「考え事をしていた」→重要でない情報で頭の中がいっぱいになっていたので重要なことが抜け落ちてしまった可能性も考えられます。

③高齢によるワーキングメモリの脆弱化→まだ一般的に50代は高齢者とは呼べませんが、ワーキングメモリの働きには個人差があるので、もしかしたら脆弱化が始まっているのかもしれません。

④ネガティブなことを考えていたのか?→ネガティブな内容は、ワーキングメモリの働きに悪い影響があるため、車の中ではできるだけポジティブなことを考えるようにしたらいかがでしょうか?

どうしたら痛ましい「車内置き去り事件」がなくなるのか?

まず、「自宅から保育園までの道程は、その当事者の会社の所在地の途中にあったのでしょうか?」と考えてみました。地理的なことが何もわかりませんので想像の域を出ませんが・・・もし、会社までの場所に保育園があったとしたら、きっと保育園の建物が見えると、途中考え事をしていても、孫を預けるということを思い出すのではないでしょうか・・・

単なるもの忘れであれば、知り合いの人の名前を忘れていても、名前を目にしたり聞いたりすると思い出すのと同じように・・・でも、会社に行く途中に保育園がない場合、車に乗る時点から他の考え事をしていて、保育園の前を通らないとしたら、もしかしたら思い出せない可能性があるかもしれないですね。(絶対あってはならないですが)

次に、「お孫さんは、車の中で泣いたりお話ししたりしなかったのでしょうか?もしかしてずっと寝ていたのでしょうか?」ということを考えてみました。乳幼児ですと、泣いたり、喃語を発していたり、文章にならないような単語を喋っていたりとするのではないかなと推察します。(寝ている以外は)お孫さんの声が聞こえていたら、その存在を忘れるなんて普通はあり得ないのではと考えられます。その声が聞こえたとしていても、深い悩み事がありずっとそのことに気持ちを奪われてたとしたら、もしかして存在すら感じなくなってしまうのでしょうか?

お孫さんを、車のチャイルドシートにしっかり乗せてあげるまでは、その存在を認識していたはずです。それでも、なぜか忘れてしまったと言われるのでしたら、今後絶対にこのような悲しいことがないように、また同じような悲惨の事件が起こらないためにも対策を立てないといけないと考えます。

途中でもしくは自分の会社に着いてからでも、お孫さんのことを思い出したかもしれない要因があるとすれば、ご自分の通勤バックとお孫さんの保育園バックを一緒に助手席に置いておかれたら、車を降りる際に必ず保育園のバックが目に入るということが一理あるかもしれません。お孫さんの保育園バックに気づきさえすれば、必ず思い出していたのではと考えられます。「預けたと思って運転していたが、保育園のバックがある」 そこで、ハッとなり後部座席を振り返るとお孫さんが乗っていることを気づかれたかもしれません。人間の短期記憶に限度があるとするならば、大切なことを忘れないためにも、自分の近くに視覚から思い出せるものを置いておく必要があるのではないでしょうか・・・

最後に・・・

「様々な要因が重なって、尊い命が奪われてしまいました」と後悔されても、尊くて大切なお子様の命が蘇ってくることはありません。子どもは未来からの大切な使者です。大人の私たちは、子どもたちに未来を託すしかありません。なので、大人は子どもが成長するまでずっと見守り大切に育てていく責任があります。

毎年少子高齢化が話題に上り、新生児の出生率も下がる一方です。この世に生まれてきた大切な命を、大人は大切に守る使命があると思います。このままでは明るい未来が見えてきません。

尊い命を守るためにも自分のことを過信せず、大切なことを忘れそうなときは、必ずメモを取ったり自分の目につくとろに思い出せるヒントを置くことをおすすめします。単純で専門的な答えではないかもしれませんが、「車内に置き去り事件」がもう2度と起こらないためにも、大人の私たちは、創意工夫が必要ではないでしょうか・・・

最後までお読みくださりありがとうございました!

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