こんにちは。
辞書つくりに情熱を燃やす人々の物語ーNHKドラマ「舟を編む」は、「言葉」そのものへの深い敬意と愛情が溢れています。
こんなにも「言葉」と向き合ったドラマに出会った経験はありません。
言葉の持つ不思議な力やそこに込められた想いにふれるたびに、人間に生まれてきてよかったなあって感じます 大袈裟ですが…笑
今回は、1話から3話までの心に残った珠玉のエピソードをまとめました。また、ドラマの展開を追いながら追記していきたいと思います。
第1話 エピソード

口癖はこわい⁈
無意識のうちに使ってしまう言葉ってありますか?
いわゆる「口癖」というもの。
いい口癖なら大歓迎なのですが、逆だとしらずしらずに自己肯定感に影響を与えてしまうことがあるかもしれません。
もし、否定的な口癖でもちょっと言い換えて、自分も周りもハッピーな感情に包まれるといいなと思います。
「舟を編む」の主人公岸辺みどり(池田エライザ)の1話での口癖をまとめてみました。
なんて、なんて、なんて

みどりがよく使う”なんて”という言葉は、ほとんどが否定的ととられるような意味で無意識のうちに使っていました。
ドラマでは、みどりが「~なんて」を多用していたので、辞書つくり監修の松本先生から次のように言われました。
「一度、辞書で『なんて』という言葉をひいてみてください」と。
調べてみると各辞書によって、微妙にニュアンスが違っているのがわかります。
小学館『大辞泉』(goo辞書)
🔶ある事物を例示して、それを軽んじたり、婉曲(えんきょく)に言ったりする意味を表している
例】「手伝いなんてできるか」
例】「本気にするなんてばかね」
🔷「軽視」ほど強くないが、否定的ニュアンスを含んでいる
三省堂『大辞林』(中型国語辞典として評価が高い)
🔶「軽視」「無視」という強い表現を使用している
🔷ドラマ「舟を編む」でも効果的につかわれている
三省堂国語辞典(小型辞典で簡潔で分かりやすい)
🔶より中立的な表現を使用している
🔷「軽視」「無視」ほど強い表現は使わない
辞書によって表現が違うのはなぜ?
一つの言葉を見ても、辞書によりけりというか少しずつ解釈が違いますよね。
ドラマの中でも、辞書を編集するときにみなさんで時間をかけて言葉と向き合われていたシーンが印象的でした。
表現が違う理由を下記にまとめています。
- 各辞書の編集方針により、語釈の表現が変わるため
- 学習者向けか、一般向けかによって説明の強さが違ってくるため
- 言葉の使われ方の変化にあわせて説明も変化していくため
馬締さんの言葉のつかいかた
みどりが「右」の意味を彼女なりの表現で言い表したときに
「なんて素敵な『右』でしょう」って、馬締さんが言ってました。
たった3音だけれども、使い方によって人を傷つける言葉にもなるし、心地いい意味にもなりますね。
「感嘆」の意味で使う機会が増えるといいなあと思います。
たとえば、
●なんて綺麗な夕日なんでしょう
●なんて優しいの
●忙しいのに私のために時間を使ってくれるなんて、すごく嬉しい
●なんて早く答えが見つかったんだ
など
他にもたくさんあるかもしれませんが…
みどりの感性が素敵!

”大渡海”の編集メンバーになる前は、ファッション誌に携わっていたみどり。
どこにでもあるようなありふれた言葉を、センスあふれる言葉に昇華させていました。
ただ色を表現しているだけでなく、読者の気持ちに寄り添ったキャッチコピーに仕上がって素敵ですよね。
オリジナル「右」の表現とは?
前述した、馬締さんの言葉と関連するのですが。
失恋をしたみどりが導き出したみどりだけの「右」の解釈は、
でした。
決して辞書には載らない言葉ですが、この言葉を聞いただけで情景が目に浮かんできます。こんな表現があるんだなあって、感動しました。
私もみどりのように「右」を表現するとしたら、どうなるかなと考えてみました。
例えば、
「髪の毛をかき上げた時、生え際でほくろが見え隠れするほう」とか。
うーん、難しいですね
第2話 エピソード

心に残る「あきらめて」の意味
ひらがな表記だと同じ言葉を繰り返してるだけと思っちゃいますが、
漢字にしてみるとそれぞれの意味がはっきりするんですね。
①明らめる…物事の事情や理由をはっきりさせる
これは、みどりと彼との仲がどうして別れてしまうような結果になったのかを、みどり自身が明確にしたほうがいいよといってるのかもしれないですね。
②諦める…希望や見込みがないと認めて、しかたがないと断念する
みどりと彼が元の関係に戻れないんだよとふっきれてほしいという意味にもとれますね。
③明らめる(もう一つの意味)…心を明るくしたり、気持ちを晴れやかにしたりする
みどりは、つらい経験をしたかもしれないけれど、心を晴れやかにして前に進んでほしいと馬締さんは願っているのが伝わってきますね。
ほんと深いですね。
「恋愛」はどんなふうに解釈したらいいのだろう
「大渡海」の編集メンバーでの「恋愛」の定義を話し合うシーンもとても印象的でした。
みどりは、「恋愛」の意味を辞書で調べた時に「異性同士」という表現に違和感を感じます。
「男女」に限定しているところを、みどりはひっかかったのかもしれないですね。
次の馬締さんの言葉は、胸に刺さりました。
人と話をしてて、上手に説明したり言語化するのが難しい時があります。
でも、馬締さんがいったように、言葉にしてあげなかったら自分の中にある灯火が消えてしまうんですね。
たとえ言葉にするのが難しくても、これからは諦めずに言葉にして伝えていこうと思えたシーンでしたよ。
そして、みどりの「恋愛」の語釈は…
あーたしかに。
”恋愛”が”不安定な状態”というのは、ほんと確信をついていますね。
第3話 エピソード

進化し続ける私たち
馬締さんの次の言葉も深いなあと思いました。
こういうふうに丁寧に言葉を紡いでもらうと、気にも留めなかったことに気づかされます。
みどりが言ったように、
ようやく辞書に人名を載せる条件を理解できました。
みどりが、人生の本質に気付いた瞬間だったのかもしれないですね。
まとめ
今回は、NHKドラマ「舟を編む」の第1話から第3話までの心に残った珠玉のエピソードをまとめました。いかがでしたでしょうか?
ドラマを毎回見るたびに、言葉の持つ不思議な魅力に感動が止まりません。
それにみどり役の池田エライザさんが、辞書をめくる時の姿がとっても上品で素敵ですよね。
今後のドラマの展開が楽しみです。また、心に残ったエピソードを追記していきますね。
最後までお読みいただきありがとうございました!