もし、あなたの人生で「一番大切なもの」の順番が、突然入れ替わってしまったら?
それも、自分の意思ではなく──たった一人の「君」によって。
TENBLANKの「永遠前夜」は、そんな抗えない恋の力を、野田洋次郎さんらしい圧倒的な言葉の美しさで描き切った名曲です。
「懐かしい歌が聞こえた そう思ったら 君の笑い声で」という冒頭から、もう心を掴まれてしまいそうになります。
この曲が、どうしてNetflix『グラスハート』のクライマックスを飾る”最も大事な一曲”と呼ばれるのか気になりますよね。
今回は、その歌詞に込められた、永遠と刹那、愛と運命の物語をみていきますね。ドラマの感動シーンを思い出しながら…
「永遠前夜」歌詞を詳しく!(ドラマのネタバレを含みます)
懐かしい歌が聞こえた
そう思ったら君の笑い声で
ただの偶然と心が
処理する間もなく
君の音が僕の隙間に流れた

3年前の出逢い(エピソード1)
音楽フェス開催の日、朱音(ドラマー)は突然上司から解雇されてしまいます。
失意の中、朱音は土砂降りの雨にもかかわらず、ドラムをたたき続けていると遠くからピアノのレスポンスが。
藤谷(演:佐藤健)と朱音(演:宮崎優)の2人が音でセッションする名シーンです。
何度観ても記憶に残る感動シーン!!
「永遠前夜」の曲を作成する藤谷は、この3年前の朱音のドラムの音が偶然にも思い出されていたのかもしれません。
「ただの偶然と心が
処理する間もなく
君の音が僕の隙間に流れた」
実は、藤谷も井鷺一大(演:藤木直人)に裏切られていて、きっと失意のどん底だったと思います。
その時に音で出会った2人。
藤谷の心が朱音の音で満たされる瞬間でした。
永遠が僕らを見て
引用元:Apple Music「永遠前夜」
可哀そうな眼を
すると君は不思議そうに
笑ってみせた
平然と僕の中にある大事なもの
たちの順番を勝手に
入れ替える君

限られた時間の中で
「永遠が僕らを見て可哀そうな眼を」
ドラマエピソード8で、藤谷と高岡(演:町田啓太)の会話から朱音たちは、藤谷が病気であることを知ります。
きっと、永遠なんてなくて、どれだけあるかわからない時間しか残されていない藤谷。永遠という時間から見たら、たぶん可哀そうだと思われるかもしれない。
だけど、朱音は「先生は音楽を作ってる時が一番幸せなんじゃないかな」と思って、藤谷を別荘に連れていきます(エピソード9)。
2人で一緒に「Glass Heart」を制作。
ここもすごく心に残ってるシーンなんですよね。
大事なものの順番が変わるとき…
「平然と僕の中にある大事なもの
たちの順番を勝手に入れ替える君」
ずっと、音楽一筋でやってきた藤谷。
音楽が全てだった…なのに、朱音の寝顔を見ていた藤谷は、彼女への思いを込めた曲「永遠前夜」を作り上げます。
このシーンは、朱音という存在が何よりも大切なものとして刻まれた瞬間かもしれないですね。
僕ら抱きしめる代わりに
引用元:Apple Music「永遠前夜」
声を殺し叫んだ
無様だと笑われようと
誰にも習ったことない
選んだ命

まるで絞り出すように
別荘で、曲つくりをしているときの藤谷の顔は、ほんとうにやつれて苦しそうで見るのが辛かったです。
まるで言葉を絞り出すように弱々しい声で。
だけど、
「無様だと笑われようと
誰にも習ったことない
選んだ命」
このフレーズのように、誰に何と言われようと自分で選んだ道なんだっていう覚悟が伝わってきます。
騒がしい君の命が
引用元:Apple Music「永遠前夜」
聞こえないとなぜか不安になる
君を知る前の自分に
戻れることなど
二度とないことを
知ってしまったんだ

朱音への想い
「騒がしい君の命が」
本当に、このフレーズは朱音のことをうまく表現してるなあって思います。
天真爛漫でいつもパワフル…朱音の姿に、私もすごく勇気づけられました。
朱音=宮崎優ちゃんなので、まるで公私とものシンデレラストーリーを観ているようで、没入感がすごくて力入っちゃいました 笑
「君を知る前の自分に戻れることなど
二度とないことを
知ってしまったんだ」
藤谷は朱音のことを好きにならないと思っていたけど、「君」という存在を深く知れば知るほど、もう好きだという気持ちは消せないんですよね。
すごく素敵なフレーズ。
永遠が僕らを見て
引用元:Apple Music「永遠前夜」
可哀そうな眼を
すると君は不思議そうに
笑ってみせた
平然と僕の中にある大事なもの
たちの順番を勝手に
入れ替える君

朱音と坂本君(演:志尊淳)の関係性がどうなるのかなと、ちょっとドキドキしたのですが、「永遠前夜」の歌詞を見て藤谷にはかなわないって思った坂本君がすごく不憫だけど、可愛かったです。
まさか、藤谷にとって朱音ちゃんが大切な存在になるとは思ってもいなかったのかもしれないですね(坂本君としては…)
この世界に僕らだけが
引用元:Apple Music「永遠前夜」
聞こえる歌がある
それを鳴らすためなら
この命の分け前など
取るに足らない

クリスマスの夜のシーン
このシーンは、とても美しくてときめきが止まらないので、見逃されていたらぜひ観てくださいね。
ちょっと、あらすじを書きますね。
バンドを辞めると決めた朱音が実家で配達の仕事をしているクリスマスの夜、坂本が訪ねてきます。坂本は「好きだと思ったのは勘違いだった」と強がりの嘘をつき、藤谷が朱音のために作った「永遠前夜」のデータを渡します。
そこへ藤谷から電話がかかってきます。藤谷は電話越しに「永遠前夜」を歌って聴かせます。
「この世界に僕らだけが
聞こえる歌がある」
まさしく、このフレーズがぴったりのシーンでした。
2人だけで共有している歌。
そして、藤谷が朱音のためだけに作った曲「永遠前夜」。
こんな素敵なクリスマスプレゼント、最高ですね。
手に触れた刹那
引用元:Apple Music「永遠前夜」
こぼれ落ちてゆく
それが「生きること」と
同義だとしても
だから何だという
言いなりはやめた
藤谷の命は限られています。触れた瞬間にこぼれ落ちていく、それこそが藤谷にとって生きるということなのかもしれません。
だけど、
「だから何だという言いなりはやめた」
運命に従うなんて僕にはできない。
言いなりになんかならないんだよという、藤谷の心の叫びが聞こえてきそうです。
永遠が僕らを見て
引用元:Apple Music「永遠前夜」
羨ましそうに近づいてくるのを
僕ら駆けて逃げてく
永遠にできなくて
この僕にだけできることがある
鳴らせる音がここにある
今聞かせたい人がいる
震わせたい鼓動がある
作成:Yojiro Noda

ラストのフレーズは、ドラマ最終話そのものだなあって思います
藤谷は大規模な野外フェスで「いつ死ぬかは誰もわからない。今を全力で生きるしかない」とファンに語りかけ、TENBLANKは伝説のライブを披露します。
もし、忙しくて1~10話まで見る時間が無い場合でも、最終話はおすすめですよ。
ライブの臨場感がすごく味わえて、グラスハートの集大成でみどころMAXです!
「永遠が僕らを見て
羨ましそうに近づいてくるのを
僕ら駆けて逃げてく」
終わりが近づく「永遠」から逃げるように、どこまでもかけ抜いていってほしいですね。
まとめ
今回は、「グラスハート」の感動シーンを振り返りながら、「永遠前夜」の歌詞の意味をみてきましたがいかがでしたでしょうか?
「永遠の前夜」とは、つまり「永遠が始まる直前」。しかし藤谷と朱音にとって、その「永遠」は決して訪れないし、訪れてほしくないです。
2人にとって永遠が始まらない「前夜」を、ずっと生き続けてほしいと願いたいです。
終わりのない今を、全力で。
この曲の作成は、RADWIMPSの野田洋次郎さんですが、主人公の感情に寄り添いながらも、その背後には時間や運命といった大きなテーマが横たわっているなんて、ほんとさすがですね。
永遠と刹那、愛と運命の物語…。
音楽そして言葉は、こんなにも美しくて、こんなにも深いんだなって改めて教わった特別な一曲です。
ぜひ一度聴いてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
